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精神障害と闘う家族の苦しみ

村井健男さん(81)は今年2月14日、和歌山市内の自宅で精神障害のあった長女(41)を殺害し、7月に懲役3年・執行猶予5年の有罪判決を受けた。

 

家族は約20年、長女の暴力を受けてきた。高校卒業後、職を転々とするうちに引きこもり、家族に暴力をふるい始めたのだ。近年は病床の妻(75)に暴力をふるうことが続き、「自分が死んだら妻はどうなるのか」と思い悩んだ末の犯行だった。

和歌山地裁は「入院や投薬での改善も望めず、殺害を回避する行為は期待できなかった」と情状判決。法廷で号泣する村井さんに裁判員らも目を赤くした。

 

精神障害と闘う本人と家族の苦しみを知ってほしい。11月28日、同市内で開かれた講演会『求め続けた希望の光』で苦悩を打ち明けた。

「長女はおっとりした性格でしたが周囲にはなまけ者と映ったようです。小学3年生の時、給食を食べるのが遅くパンを残したことが原因でいじめられました。“担任の女の先生からパンを口に押し込まれた”と言うんです。長女は後年、“それが自分の転機になった”と言っていました。」

 

ふたりの兄と年の離れた3人きょうだいの末っ子。村井さんが40歳のときに生まれた待望の女の子だ。小・中学といじめられた長女は高校卒業後、就職して6社を渡り歩いた。何をするにもスピードが遅く、自分から辞めたり、会社に辞めさせられたりの繰り返しだった。

 

「20歳のころから家に引きこもり、気に入らんことがあると窓ガラスを割ったり、私や妻を蹴るようになりました。習っていたころに買ってあげたグランドピアノも壊してしまいました。隣の家や道路に食器やケチャップを投げつけました。妻が病床に伏してからは、長女に言われるまま食べ物を買ってきましたが、気に入らないと暴れます。私は真夜中でも肉や魚を探しに出かけました。」

常に暴力的だったわけではない。ただ、落ち着いているときと、暴れ始めたときのギャップは激しかった。警察に助けを求めると、「事件にならないと動けない」と突き放された。

保健所の職員は、まともに応対する娘と接して「大丈夫ですよ」と帰っていった。病院を頼ると「本人を連れて来てください」と言われた。

村井さんは、「娘本人が病院に行ってくれるなら苦労はしません」と振り返る。

 

2001年、長女は隣家にハサミや包丁を投げつけた。警察が長女を保護し、病院の精神科で診察を受けさせた。自己中心的で暴言や暴力行為など他罰的症状を伴う「強迫性神経症」と診断された。

 

 

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