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「ひきこもり女子会」に集う女性たちの現実

学校や仕事に行かず、自宅に引きこもって家族以外とほとんど交流しない「ひきこもり」。内閣府の調査では、15~39歳の「ひきこもり」は、2015年時点で約54万人と推計されています。しかし、女性は「家事手伝い」などと呼ばれ、男性に比べて引きこもりの実態が見えにくいという問題点が指摘されています。最近注目を集めている、ひきこもり女性を支援する取り組みを取材しました。

過去最多97人が参加

2月上旬、東京都渋谷区内の会議室で開かれた「ひきこもりUX女子会」。UXとは、User Experienceの略で、ひきこもりの女性たちが集まって、自分の悩みや体験などを話す場です。

主催したのは、ひきこもりや生きづらさの当事者・経験者で作る一般社団法人「ひきこもりUX会議」。16年6月にひきこもり女子会を始めて、今回で39回目になります。これまでに延べ1400人以上もの人が参加しているそうです。

この日は、過去最多の97人が集まりました。年齢は10代から60代まで様々です。会の前半は、同会議の代表理事・林恭子さんと恩田夏絵さんが、ひきこもりだった自らの経験を話します。後半は「30代」「仕事」「自立」といったテーマごとに分かれて、グループトークが行われました。

親が元気なうちに自立したい

会に参加した千葉県の30代の女性。学生時代にいじめが原因でひきこもり、両親以外とは話さない生活を送っています。同じ境遇の人と話してみようと、「いじめ」がテーマのグループトークに参加しました。「話すのはとてもつらかったけれど、話を聞いてもらい、心に詰まっていたものが吐き出せてよかった。今は両親に頼って生活しているけれど、親が元気なうちに自立したい」と話していました。

女子会の前半には、家族らも参加できます。40代の娘がひきこもりだという栃木県の60代の女性は、娘には内緒で参加。「私たちが死んだら、妹夫婦のところに迷惑がかかってしまう。まずはこういう場所に来てくれたら。ここのパンフレットをどうやって渡すかで悩んでいます」と話していました。

全国キャラバンを実施

ひきこもり女子会には、林さんの経験が生かされています。林さん自身、10代と20代で2度、ひきこもり生活を送った経験があります。20年前、林さんがひきこもり関係のイベントに行くと、会場にいるのは男性ばかりでした。

その後、UX会議の活動に加わった林さんは15年、男女共同参画センター横浜南と一緒に、メイクや洋服のコーディネートなどを相談できるイベント「ひきこもり×おしゃれカフェ」を企画。多くのひきこもり女性の参加に手応えを感じた林さんは、「生きづらさを抱えている女性が安心して集まって話せる場所を提供したい」と考え、ひきこもり女子会を始めたそうです。

「ひきこもり女子会」には毎回、全国各地から参加者が訪れます。そこで昨年は全国キャラバンも実施しました。林さんは「ひきこもり女性は全国にいる。各都道府県で開けるようにしてほしい」と自治体への支援を訴えています。

介護問題も加わって‥

内閣府の定義によると、ひきこもりとは「自室から出ない」「近所のコンビニなどには出かける」「趣味の用事のときだけ外出する」――など、社会参加をしない状態が6か月以上続いていることをさします。林さんは全国キャラバンを通じて、ひきこもり女性が両親らの介護を引き受けるケースが少なくないことを知りました。「家にいるんだから、お前がやればいい」と家族から押し付けられることもあるそうです。
人との会話が苦手なひきこもり女性も多いため、「ケースワーカーに相談して、介護ヘルパーに来てもらう」といったやりとりができず、負担の重さに押しつぶされそうになる人もいると言います。生きづらさを抱えているところに介護が降りかかって、問題が深刻化し、「助けてほしいけれど、どこに行ったらいいのかわからない」と困り果てている女性が少なくないそうです。

「専業主婦」「家事手伝い」は数字に含まれず

「ひきこもりというと男性のイメージが強くて、女性の引きこもりは少ない、いないと思われてきました」と林さんは言います。内閣府の推計では、15~39歳のひきこもりは15年時点で約54万人とされ、その6割強が男性とされています。しかし、林さんは「この数字には、『専業主婦』や『家事手伝い』の人は含まれていません。でも、ひきこもり女子会に参加する人のうち、25%は専業主婦、家事手伝いは60%にも上ります」と説明します。

 

ひきこもりにくわしい精神科医の斎藤環さんは「日本には『女性が社会に出なくてもいい』という偏見が残っており、女性が家に閉じこもっていても、『専業主婦』や『家事手伝い』などの言葉をあてはめ、問題視しない傾向がある」と指摘。「若年無業者(ニート)の調査などの結果から、男性も女性もひきこもりの割合は同じくらいとみられるが、女性のひきこもりは表に出づらい。ひきこもりの自助グループに参加する人も9割は男性」と言います。
斎藤さんによると、ひきこもりの解決には、「まず家族との関係修復。家族の支えの元で、家族以外の人と交わり、社会性を築くこと」が必要だそうです。

 

 

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